社団法人全日本愛鱗会

泳ぐ宝石 錦鯉

池と庭

英国鯉池巡り

ノーウィッチ・コイクラブ訪問記vo.1-1

写真・文 クリス・レヴェル&パトリシア・ジェノヴィス(南イングランド・コイクラブ)

コイ・ホビイスト人種は、なんだかんだ言っても、愛鯉家どうしで好みのサカナや鯉池の構造について話していれば、それでご満悦なのである。同じクラブ仲間ともなればなおさら。この鯉がよくなったといっては一喜、あの鯉はだめだったと一憂し、それぞれ違う濾過システムの情報交換をするなど、そうやってクラブマンシップというか、ある種同門意識が生まれる。

とは言っても、すこしばかり隣の垣根も覗いてみたくなるのが人情である。一歩進んで、実際にほかのコイクラブのメンバーと親しい交流を持ってみると、 水魚の交わりじゃないがコイ・フレンドシップの輪に距離なしと実感することが多い。それに、鯉の飼い方にもいろいろあって、ひとつのやり方がすべてじゃないのが面白い。

前置きはこのくらいにして、そういうわけでさっそく隣の垣根を越えてみようと、わが南イングランド・コイクラブ(全日鱗・南イングランド支部)は、六月十二、十三日の両日、ノーフォーク州にあるノーウィッチ・コイクラブの会員池巡りをすることに決定。まぁ、そう大げさなことではなく、ちょっとしたお楽しみ会という態であるが。

ノーウィッチ・コイクラブの方はこちらの申し出を快く引き受けてくれた。特にマイクさんには、ミニバスを調達してみずから運転手を引き受けてくれるなど、お礼のいいようもない。

当日、曇りときどき夕立という天候で出発した道中も、しだいに青空が見えかくれし、ノーフォーク州へ入るころには太陽も顔を出した。それ以後、週末を通してすばらしい天気に恵まれることになる。日頃よりの会員の池掃除精進のたまものであろう。

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そうこうしているうちに、第一日目最初の池に到着。ここは今回の池巡りではもっとも規模の大きい、キースさんジェニーさん夫妻の庭池である。水量一五〇〇〇英ガロン(約六七・五トン)のひろびろとした池の一方の端には三段の滝がしつらえてある。興味をそそったのは高さ十一フィート(約三・三メートル)もあるヴォルテックス(沈殿槽)二機を地面に埋め込んであるところだ。すっきりした外観からもすばらしいの一言だが、陰の苦労もその分多かったらしい。地面の掘り下げを専門業者に依頼し、できあがりの深さを測ってみると十フィートしかない。残り二フィート(約六十センチ)はキースさんと鯉仲間による手作業の格闘となった。穴の壁は支柱でしっかり支えていたというが、生き埋めになったらという不安は、作業中は笑いごとではなかった。やっとの思いで深さ十二フィートを達成して穴から上がったとき、心からホッとしたという。奥さんのジェニーさんは「孫たちは池で鯉と泳ぐのよ」と苦労話の横で笑っていた。ジェニーさんの計らいで、ここで一同、大いに喉をうるおし腹を満たす。

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次の訪問先は、ロイさんブレンダさんの池。二人の住まいの方はなんとモーター・ホームだというのに、限られた敷地に二七七七英ガロン(約一二・五トン)の池と、聞いてびっくり見てびっくりである。庭いっぱいにしつらえたこの池のファンになってしまった。

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三番目の池は、ダグさんドリスさん夫妻宅もの。水面が地面の高さと同じになるように造られているデザイン。今回の池巡りの中では個人的にはいちばん気に入った。ダグさんは品評会では何尾も入賞鯉を出しているほどの愛好家であり、それよりなにより、我々のノーフォーク州観光にはピカイチのガイド役となってくれた。

途中、宿泊先であるトラベロッジに寄って荷物を降ろし、つかのまの休憩とゆっくり腰をおろす間もなく、次の池へとミニバスにとんぼ返りである。

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この日最後の訪問先は、二つの池という羨ましい環境。ひとつは住居建物のすぐ横にある三三〇〇英ガロン(約一五トン)のもので、さらに庭の奥に一五〇〇英ガロン(約七トン)の池が造られていた。ここの池では水の出来ぐあいがすばらしく、泳いでいる鯉を最高に美しく見せている。もちろん、グリンさんバーバラさんの見立てた鯉そのものの質もよい。鯉を思う存分鑑賞しているあいだに、よく冷えたビール、おいしいプディングなどをふるまっていただき、充分すぎるほどの歓待にあずかって、お宅をあとにするに際しては、ただただ恐縮した。

初日から池巡りを満喫してトラベロッジに戻る。さすがに全員疲れているようである。明日もあることで、有意義な一日に満足しつつおとなしく床につく。