社団法人全日本愛鱗会

泳ぐ宝石 錦鯉

飼育ポイント集

(6)   塩での薬浴

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塩は副作用がないため、錦鯉の薬浴などで単独に用いたり別の薬品と併用したりします。薬品の代わりに塩を使う目的は大まかに言えば二つあります。

一つは、体表に付いた寄生虫や細菌を駆除するためであり、もう一つは浸透圧の作用を利用して体調を崩した鯉の生理機能を回復・調整してやるためです。細菌や寄生虫の駆除のみについて言うと、高濃度の塩を使って短時間の薬浴をすると、色が飛んだり、鯉を殺してしまうことがあるので、低濃度の薬浴が望ましいと思います。

一般的には、0.3~0.7%(1トンに3~7kg)の濃度で48~120時間くらい薬浴させる場合が多く、時間をかければある程度の寄生虫や細菌を駆除出来ます。とりわけ、尾腐れの原因であるフレキシバクターやカラムナリスは、塩に弱いので塩浴の方法が特に効果的です。しかし、白点虫やエラの根元につくトリコジナは、塩には弱いのですが、低濃度の塩浴だけでは駆除しきれません。この場合は市販の薬と併用するか、0.7%(1トンに7kg)の塩で消毒してください。


二つめは、塩の低濃度の長時間薬浴には魚の浸透圧調整を助ける働きがあることです。

鯉は淡水の中で生活する魚類ですが、周囲の環境水より魚の体液の塩分濃度のほうが高いので、魚体の中に絶えず水が入ってくる環境に置かれています。従って淡水の中に鯉を放した状態では水がどんどん体内に入ってこようとします。だから、淡水魚はあまり水を飲みません。飲まないでも入ってくるため、多量のおしっこをすることでバランスを保っているわけです。

たとえば、穴あき病の場合、鱗がとれて穴があくため、多量の水が魚体内に入ってきます。ですから、穴あき病を治療する場合は、市販の治療薬と低濃度の塩浴併用すると効果的です。

魚が病気になると、浸透圧を一定状態に保つ機能が狂ってきます。腎臓の機能が低下するため、代謝能力が下がり衰弱してくるのです。その働きを助けてやるために塩浴をしてやります。体内の塩分濃度に近づけてやることで、浸透圧を調整しようとする働きが魚体内で回復され、結果的に鯉の代謝機能を助けてやることになります。

手軽な塩をぜひ有効に使ってみてください。

POINT  塩を使用する場合は、ホルマリンとの併用は絶対にしないでください。

飼育魚病研究部 副部長 平田潤一 (埼玉県支部)

(日鱗誌445号より/転載を禁ず)