社団法人全日本愛鱗会

泳ぐ宝石 錦鯉

飼育ポイント集

(10)   春の餌付け (1)

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3月半ば過ぎ。まだ餌付けには早すぎる時期ですが、縦に長い日本では4月初旬からという地方もあります。錦鯉の飼育の中で、難易度が最も高いのは春の餌付けだと思われます。当才魚を除く多年魚の死亡率が最も高い時期は、春先から梅雨明けまでの間です。理由は大きく二つあり、一つには秋口の消毒の問題、もう一つは春の餌付けです。消毒の大切さについては説明しましたが、秋口に完璧に消毒を行っていないと、この時期にツケが回ってくることになります。この時期に調子が悪ければ、夏の飼育または野池飼育にも影響します。

本題の春の餌付けは、個々で色々なやり方をしているようで、大まかに二通りのタイプがあり、時期で始める方と水温で始める方がいます。


時期で始める方法で、春の餌付けは6月からという人がいますが、私は?を出します。なぜかと言えば、水温が上昇してくるとメス鯉は卵に栄養を送らなければなりません。長い間餌止めをすると、身を切って卵に栄養を送るために尾筒から痩せてきます。

従って水温が15℃を超え18℃までは1日1回舐める程度に餌を与えます。舐める程度とは、どのくらいの量かと言えば、30秒から1分以内に食べきれる量です。

越冬時期の錦鯉は消化液の分泌が低下します。そんなところに消化の悪い餌(タンパク質35%以上・色揚げ等)を与えたり、大量に餌を与えると、エラ病や穴あき病をひき起こします。では、どのような餌を与えると良いかと言えば、私の場合は練り餌です。練り餌は水分が入っているため、乾いた浮き餌に比べて消化を助けます。それから野菜を与えるのも良いようです。野菜を口に入れてのモグモグ行為が消化の分泌を促進するのです。このような餌を与えると消化が良いため、腹にこなくて尾筒が痩せません。病気はもちろん、腹ボテの錦鯉は鑑賞価値を著しく下げますので注意しましょう。


飼育用・色揚げ用の練り餌(粉末)が市販されています。水で練ったあと鯉に合わせて、ひと口サイズの団子状にします。多少手間はかかりますが、大切な愛鯉のためです。浮き餌を水でふやかして与える人も多いようですが、練り餌は食の強い鯉だけでなく、どの鯉も喜んで食べてくれます。


少し先の話になりますが、水温が20℃を越したら魚体重の0.1~0.2%を与えます。具体的には、池で飼育している鯉の総体重が20キログラムとすると、餌の量は20~40グラムになります。小さな鯉ほどパーセンテージが高く、大きな鯉ほど低いのが普通です。水温20℃までは鯉がどんなに餌を欲しがっても、決めた量を超えてはいけません。次の項では、餌付け時期の水質について触れます。

POINT  春の餌付け開始は体感温度ではなく水温計で。その年の気候変動にも注意を。

飼育魚病研究部 副部長 平田潤一 (埼玉県支部)

(日鱗誌448号より/転載を禁ず)