社団法人全日本愛鱗会

泳ぐ宝石 錦鯉

飼育ポイント集

(12)   バクテリア交代

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3月から5月にかけて(多少の地域差はあります)、池の鯉たちがゆっくり泳ぎだす頃、池壁のコケも生え変わりの時期になります。コケが生え変わると水変わりが起こります。

水が変わるという現象は、濾過槽(池全体も含む)でのバクテリアの種類の分布状況も変化してくるということです。池の中の生物は水温によって大きく変化してきます。特に水温が13℃以上になると冬のバクテリアから、中温バクテリアに交代します。交代期間は約1ヶ月ですが、水温だけでなく日照時間や日照角度によって左右されるので、意図的に加温してもバクテリアは増殖されません。(但し多少交代期間は短くなると考えられる。)ゆえにバクテリア交代のこの時期に、当才魚を2才以上の多年魚の入っている池に混ぜて飼育すると、エラ病に罹ったり、穴あき病に冒されたり、原虫類が悪さをします。(この時期は多年魚も病気になりやすいが、特に当才魚が危ない。)なぜなら、池の中のバクテリアが減るために病原菌が活発になるからです。

この温度帯になると、餌は与えなくても池底や壁のコケをつついたりして、体内の水分を大量に放出するため、冬季に比べて大量の小便を放出します。そのため池の中のアンモニアは増え、浄化バクテリアも交代時期で能力が落ちているので水質は悪化していきます。CODも水温が低い時期は3~5ppmだった水質が、この時期は10~15ppmくらいに上昇します。これらの水質悪化を防ぐ方法が2つあります。


吸着材(ゼオライト等)を使うイオン交換の方法と、バクテリアによる生物濾過の方法です。


しかし、吸着材を使用する方法はあまりおすすめできません。吸着材は吸着したものを必ず再生するか、または池の循環経路から排除しなければなりません。この作業はとてもハードな力仕事で手間が掛かります。やはりバクテリアの力を借りて水質の悪化を防ぐほうが理にかなっています。池の中で好気性バクテリアを意図的に培養することによって水質の悪化を防ぐことができます。


水温が13~15℃くらいに上がってきた頃に、白点や白雲が出たり、穴あき病が出てくる率が高くなります。この場合、濾過槽の汚れを疑ってください。錦鯉は環境の変化、特に水質の悪化と水温の変化に弱い(ストレスを強く感じる)ことを、絶えず念頭に置いておきましょう。そもそも多年魚は、体にいくつかの病原菌が付いているもので、健康体のときには体力もあり、免疫力も高いため病気に罹らないだけのことです。精神的なストレス、もしくは環境の大幅な変化によって鯉は体調を崩し、病原菌のターゲットになりやすいということです。濾過槽をしっかり掃除して良い環境を作り、生物濾過が正常に行われていれば、春先のバクテリア交代による水変わりの時期の病気は防げます。

3~5月(地域によって大幅に違いますが)にかけての魚病対策として、まず池の水変わりの前(水温が13℃くらいの時)に濾過槽を掃除しましょう。

POINT  水変わりの時期には、好気性の光合成細菌を入れましょう。

飼育魚病研究部 副部長 平田潤一 (埼玉県支部)

(日鱗誌449号より/転載を禁ず)